3/29のコラムではメノポーズではエストロゲンの量が変化し体調が変化することをお伝えしましたが(こちら)、その後はどうなるのでしょう。今日はメノポーズ以降の女性の体の変化について。
エストロゲンは全身の守り神だった
メノポーズ不調はみんなに起こるものでは無く、もちろん全く不調を感じない人もいます。
みんながみんな、体調を崩すわけではないですし、不調を感じた人も何年かすると落ち着いて調子が悪かった事を忘れてしまう事もあるでしょう。
しかし、確実にエストロゲンは減っています。ご覧の様に50歳で男性と同程度、60歳以降では平均するとそれ以下となる事がわかっています。
左の図はエストロゲンが作用する場所。
乳房や生殖器では過剰にある場合疾患に繋がる場合が有りますが、他は一般的な量があった場合全身を守っていた訳で、それが減少する事で疾患に繋がっていきます。
メノポーズ後忘れた頃に…
メノポーズの不調はその年代で出現するため、本人も「更年期だから」と納得できます。
しかし、もっと重大な事がおおよそ10年くらい経って忘れた頃にやって来ます。
女性が気を付けなければならないのは特に「骨粗鬆症」と「動脈硬化」の二つ。
骨粗鬆症は骨がスカスカで脆くなる病気で、転倒する事で容易に骨折、寝たきり、介護、認知…となって行くパターンが考えられます。
動脈硬化は血管が硬くなって突然詰まる・破れる、と言ったもの。心筋梗塞にも繋がり突然の生命の危険に繋がる病気です。
これらはまさにエストロゲンの減少によって引き起こされるもの。
その為本人は突然襲われる疾患の様に思いますが、大元はメノポーズにある訳です。
対策は早めに
では、どうすれば良いのか。
60歳を過ぎても間に合いますが、出来れば骨も血管も筋肉もしっかりしている40代から、気を付けてフォローして行くのがベストです。
自分の腸内にエクオールを作れる菌を持っている人は、大豆製品をしっかり摂って菌を活発にしてやる事が大事です。
エクオール産生者はメノポーズ不調も軽いと言ったデータが有ります。
常にエクオールがある状態にしてやる事がメノポーズ後も骨や血管を守る手助けになります。
残念ながらエクオールを産生出来ない人は外部から補ってやる、もしくはエストロゲンと似た作用をもつ食品を摂るなども良いでしょう。
納豆に関してはエクオール産生に関係なく、納豆菌に含まれるビタミンKや大豆タンパクにより骨形成に重要と言われています。
またナットウキナーゼは血栓を溶かす作用があるので血管にも良い影響が有ります。万能食品かもしれませんね。
ホルモン補充療法も一つの手立てです。
ガイドラインの改定で更年期障害がなくとも使用可能となりました。
健康維持でホルモン補充療法を行う人も今後増えるかもしれませんね。
筋肉を落とさない努力、運動と食事
骨折原因の一つ、転倒は筋肉の低下が原因となることも。知らず知らず無くなっていく筋肉を維持していく努力も必要です。
座っている事が世界一多い日本人。筋肉が十分にある40代のうちから運動習慣を付けて、動くことに慣れておく必要が有ります。
筋肉を作るタンパク質を摂ることも大事。高齢になるとタンパク質を摂れていない人が見受けられます、注意です。
身体の中では筋肉を「作る」「壊す」が定期的に行われます。
1日3度の食事にタンパク質が含まれないと「壊す」方が多くなりたちまち筋肉は減っていきます。
タンパク質の摂取量は足りている人でも他の要素が不足の為うまく筋肉再生に繋がっていない人もいるのではないでしょうか。ミネラルやビタミンも重要です。
「バランスの良い食事を心掛ける」にはしっかりした意味が有ります。