先週は女性の「守り神」である女性ホルモンについてお伝えしました →こちら。
では、閉経し「守り神」を失った後はどうしたら良いのか。
足りない成分を補う①
通常、哺乳類は生殖が出来なくなる頃つまり閉経する頃に寿命を迎えるのが一般的です。
ヒトも戦前までは女性の平均寿命は50歳以下でした。
急激に伸びた平均寿命により女性ホルモンがない事での様々な疾患が出現しています。
今は閉経後のこのような疾患や弊害を食い止めるためにHRT(ホルモン補充療法)が認められるようになりました。
つまり、病気になってしまってから考える(治療する)のでは無く、なる以前に足りない成分を補いケアしていく「エイジングケア」の考え方が重要になって来ています。
老化を遅らせるという目的にもHRTは有効です。
足りない成分を補う②
大豆イソフラボンの代謝物・エクオールはエストロゲンに形が似ておりエストロゲンが不足している時は
- 更年期症状・障害を和らげる
- メタボリックシンドロームの予防
- 肌への作用
- 骨粗鬆症の予防と改善
など、エストロゲンと同様の働き(エストロゲン様作用)が期待できます。
体内でエクオールを作れる人はアジア人では約50%、日本の若者は食生活の変化から欧米人並の20〜30%です。
体内で作る事ができなければサプリメントなどで摂る事が可能です。
エクオールを上手に摂ることで、老化を遅らせる事ができるかもしれません。
最近の研究では、今まで使い過ぎ・加齢などと言われていた手指痛み・変形症状もエストロゲンの減少が関与した「更年期症状」の一つである可能性が出てきました。
エクオールを飲む事で手のしびれや関節痛の症状が落ち着いた方が多くみられたという研究成果が得られています。
残念ながら変形が完全に進行してしまうと効果は無いようです。早めの服用が良いようです。
有効量はしっかり理解しよう
近年注目の「エクオール」、含むサプリメントはたくさん出てきました。
しかし今までの研究で「健康有効量」は10mgというデータがとられています。
それより少ない量を摂取していても「効果がない」と言わざる終えません。
エクオールは摂取しても毎日出て行ってしまいます。
作れる人でも腸内の環境の変化(下痢、抗生物質の服用など)でいつも同じ量のエクオールが存在している訳では有りません。
もしサプリメントを摂取しようと思うのなら、有効量をきちんと含み余計な物(保存料や添加物など)を極力含まない物を選ぶようにして欲しいと思います。
期待されるエクオールの力
2017年、60歳以上の男女のエクオールを作れる人と作れない人を比較したところ、エクオールを作れる人の方が認知機能の低下が少なかったとの調査研究が報告されています。
エストロゲンは脳にも影響が有り、エクオールがエストロゲンと同様の働きを示す事が認知機能の維持に役立っている可能性があると考えられるかもしれません。
また、エクオールはエストロゲンがたくさん有る場合はその過剰な働きを抑え対抗する働き(抗エストロゲン作用)を持つことから、乳管などにおける過剰なエストロゲンを抑え、乳がんのリスクを下げる可能性が期待されています。
最初に出てきたHRTは、乳がん術後・脳血管障害・血栓症などの既往歴のある人、子宮出血や乳房の張りなどのマイナートラブルを強く感じる人などは治療を受けられない事が有ります。
そのような時、エクオールを代替療法として使う事が期待されています。
もしも自分が長生きするなら、健康である時間はなるべく長い方が良い、と私は思っています。
今注目の「エクオール」
更年期障害の代替療法だけではなく、老化を遅らせて閉経後のイキイキ生活にも役立ちそうです。