6/16十勝毎日新聞の「女性のための医療と健康」に掲載された内容を要約してお伝えします。
お話は帯広で開業の内科・循環器クリニック院長 満岡孝雄先生です。
女性の変化をつかさどる女性ホルモン
初潮、妊娠、出産、閉経など女性の身体の変化には女性ホルモンが影響しています。
主に女性の健康やエイジングケアに関係している女性ホルモンはエストロゲンです。
エストロゲンは全身の健康維持に欠かせないホルモンで有り、動脈硬化の予防、骨の強度や脳の認知機能を維持する他、皮膚に潤いをもたらすなど美容面においても働きかけます。
卵巣で作られるエストロゲンは思春期から40歳頃までは活発に分泌され、この時期は妊娠可能な身体を作るだけでなく、病気を遠ざけるバリア機能も働き、女性ホルモンはまさに「女性の守り神」と言えるでしょう。
女性ホルモンの現象に伴う体調不良
更年期をはじめとする女性特有の体調不良も、エストロゲンが大きく関わっています。
40歳を過ぎると卵巣機能が低下しエストロゲンの分泌も減少します。
脳はわからずエストロゲンの分泌を促しますが、卵巣機能が低下しているとホルモンを分泌出来ません。
伝達がうまく働かない事で脳が混乱し、自律神経が乱れてしまいます。これが更年期障害の原因です。
更年期は閉経に向けて身体が変化する45〜55歳頃に訪れますが、ストレスの影響で40歳前後から症状が現れる「若年性更年期障害」に苦しむ人もいます。
更年期障害の症状は、のぼせ・発汗などの「ホットフラッシュ」、食欲不振や吐き気、関節の痛みやむくみ、皮膚の乾燥、排尿トラブル、性交痛など多岐にわたります。
さらにイライラ、不安、うつ症状といった精神的症状が現れる事もあります。
この様な症状に内科や心療内科などを受診しても異常が見つからず途方にくれる…という事も。
受診やセルフケアでつらい時期を乗り切る!
40歳を過ぎた女性が体調不良を感じたら、更年期の症状を疑ってみる事が必要です。
情報を集め、信頼できる病院で受診しましょう。
病院での治療の代表的なものはホルモン補充療法(HRT)。辛い症状に悩む人は検討してみてください。
その他漢方薬の処方やカウンセリングを行う病院もあります。
セルフケアの基本は食事・運動・睡眠。
ちなみにホットフラッシュには深い呼吸が効果的で、長めに息を吐くのがポイント。呼吸を意識するのも良いでしょう。
サプリメントの摂取も気軽に始められます。
中でも注目されているのがエストロゲンと似た働きをする成分・エクオール。
最近の研究で、エストロゲンに似た働きをしていたのは大豆イソフラボンそのものではなく、エクオールだとわかりました。
乳がんの手術をしたなどの理由でHRTが行えない人でも、エクオールのサプリメントはお試しいただけます。
閉経後もイキイキ
女性が生涯で分泌する女性ホルモンは、スプーン小さじ一杯分。
とても少量ですが、そのわずかなホルモンによって身体全体が守られているんです。
エストロゲンの減少は身体のバリア機能の衰えとなります。
その影響は少しずつ現れ、45〜55歳で起こる閉経の約10年後にあたる60歳頃から動脈硬化や骨粗鬆症、さらに認知症のリスクまでが高まっていきます。
更年期の治療法として用いられるHRT、実は老化を遅らせるという目的にも有効です。
エクオールにも同様の効果が期待でき、さらにエクオールには抗酸化作用があるためシミ・シワに働きかける可能性があると言われています。
女性の平均寿命87歳の今、老後を元気に過ごすためにいかに老化を先送りできるかが鍵となります。
「健康寿命」から一歩進み「幸福寿命」を目指しましょう