ウィメンズヘルスサポートの基礎を考える

17日は薬剤師臨床セミナーに参加して来ました。薬剤師が女性の健康をどの様にサポートしていけるかのご講演でした。

お話はカレスサッポロ時計台記念病院女性総合診療センター センター長藤井 美穂先生です。

人生100年のうち半分は

女性は初潮を迎えて閉経するまで女性ホルモン・エストロゲンの影響を受け、それは時に思春期の片頭痛、女性特有のがん、更年期障害等々、そして閉経後エストロゲンがなくなる事で全身の乾燥、骨粗鬆症、動脈硬化・心筋梗塞、物忘れや認知症などの症状が出現して来ます。

人生100年と言われる現在エストロゲンが無くなってからの約50年の事を、若いうちからしっかり考えていかなければならないのではないでしょうか。

女性のがん

日本は検診受診率が非常に低く、先進国でこの様に低いのは日本だけです。

乳がん、子宮体がん・頸がんいずれも早期発見で比較的治療しやすいものですが検診率の低さから進行してしまう事で治療が難しくなってしまうケースも多く有ります。

子宮頸がんワクチンも普及が進んでいません。

子宮頸がんは唯一原因がウィルス(ヒトパピローマウィルス)であるとわかっているがんです。

検診率を伸ばすのが難しい状況の中、自分で簡単に子宮頸がんHPV検査ができるWEB検査が有ります(詳しくは→こちら

検診に行けない、診察に行けない、診察が怖いという方は使用してみてはどうでしょう。 

乳がんに関してはマンモグラフィマンモグラフィ検査と超音波検査を併用することでがん発見率が1.5倍となり、高濃度乳房(詳しくは→こちら)の40代の発見も高くなるのではないかと報道されました。

エストロゲンの減少に対しては

ホルモン補充療法(HRT)のガイドラインが改定され、今は「いくつまで」や「何年間」という使用の規制は有りません。

主治医との話し合い、きちんとしたケア(がん検診)の元、何歳までも使用可能で健康維持に役立てられる様になりました。

それは閉経後が余りに長命(約50年)になった事で多くの疾患が出てくる可能性が非常に高く、それを食い止めるための策でも有ります。

HRTは今や怖いものでも、自然に逆らったものでもなくなりつつ有ります。

乳がんのリスクは恐れることはなくなりました。もっと言うと大腸がんや他のがんのリスクを下げる役割も果たすと改訂版では言っています。

それでもためらう人は代替品として「エクオール」が有ります。

女性ホルモン・エストロゲンとよく似た形の「エクオール」は無くなったエストロゲンの替わりを果たし、補っていくもので婦人科医の多くが女性に勧めているものです。

ピンピンポックリを考える上でも、女性はいかにして健康を維持するかを真剣に考える必要があります。

薬剤師が出来る事

診察で自分の聞きたい事が聞けない。うっかり聞くのを忘れた。こんなこと言ったら先生に怒られるんじゃないか…。

など診察後の薬局で患者さんが多くの事を話す機会は少なく有りません。

薬剤師は時には「こんな事を言っていた」とドクターに電話をしてくれても構わない、と藤井先生(優しい先生ですね)。

女性の健康に関し知識を得て、患者さんからお話を引き出し、ドクターにリピートし、その方の健康をサポートしていける薬剤師が増える事を願っての今回のご講演だった様に思います。

薬の事だけではない、健康を見守る事が「健康サポート薬局」「かかりつけ薬剤師」の役割なのだと感じました。