先週は男性も女性ホルモンを持っているお話をしましたが、今週はその逆、女性も持っている「男性ホルモン」が女性を元気にするお話。
札幌医科大学名誉教授 熊本 悦明先生の「更年期からの女性の元気ホルモン〜女性におけるテストステロン〜」です。
女性がイキイキ長寿でいるには…
女性ホルモンが子育ての「愛情ホルモン」と言えるなら、男性ホルモンは「元気ホルモン」、火事場の馬鹿力も元となるものです。
男性ホルモンは大変ストレスに弱く、ストレスが多いと男性ホルモンが分泌されません。
女性ホルモンは実は男性ホルモンから作られているため、緊張が続くと生理が止まったりするのはそのためです。
今現在、100歳以上の女性は男性の7倍!
古代ギリシアの時代から閉経はおおよそ50歳。
神は子育てまでは女性が元気でいる様に作ってくださいましたが、今は病気で死なない時代。
還暦後は女性も自前の元気ホルモン=男性ホルモンが支えとなります。
男性ホルモンはやる気スイッチ
重症のうつ症状や軽度認知機能障害の患者さんに男性ホルモンを投与すると改善が見られるというデータがあります。
男性ホルモンが多いとやる気が出て来ます。
逆に男性ホルモンが低下すると動脈硬化が進むと言われています。
男性も女性も男性ホルモンの低下はやる気の面でも、生活習慣病の面でも命取りとなるのです。
前回も書きましたが、男性の女性ホルモンは一生涯比較的一定量を保ちます。しかし男性ホルモンはどんどん減って行くため相対的に女性ホルモンの割合が高くなります。
その反面、女性は男性ホルモンの量は減らず、女性ホルモンは男性以下となってしまい男性ホルモンの割合が高くなるのです。
元気でイキイキしているおばあちゃんが多い、100歳以上の女性が男性の7倍、というのはやはり男性ホルモンの関与が大きい様です。
どうしたら男性ホルモンは増えるのか
更年期障害、その中でもうつ症状には男性ホルモンの投与がかなり有効です。
髭が生えるんじゃないか?などと考えてしまいますが容量をきちんと守れば副作用は出ません。
治療で男性ホルモンを増やす事は可能です。
ヒートショックプロテイン(詳しくはこちら)が男性ホルモンをサポートしている事がわかっています。
温泉に入ると元気になる様に感じるのはあながち間違ってはいない様です。
男性ホルモンはストレスに弱いので、ストレスを感じない様におおらかに過ごす事もお勧めです。
良い睡眠でホルモンが出る、運動で脳が刺激される、タンパク質や牡蠣を食べると良い、なども有ります。
「健康」という概念を考え直そう
熊本先生は「病気ではないという事が『健康』という事ではなく、やる気、生活活性力、行動力、社会生活能がある事が『健康』なんだ」とお話されていました。
私達は健康の概念を考え直し「この病気の原因は何か」「どうしたら病気にならないか」という事だけを追求するのでは無く、やる気が有り行動力を持って社会生活を営める様にするにはどうしたら良いかも模索する必要があるのだと思いました。