あなたの美と健康を守る、安全なホルモン補充療法とは

更年期と加齢のヘルスケア学会&日本サプリメント学会 北海道支部主催の第一回市民公開講座が開催されました。

はやしたくみ女性クリニック院長 林 巧先生のお話『最先端医学が「更年期」を「幸年期」に変える!〜あなたの美と健康を守る、安全なホルモン補充療法とは〜』を私の考えも織り込みながらまとめてみました。

90歳までの生存割合は約50%

明治大正までは40歳代が日本女性の寿命でしたが、昭和22年に50歳を超え、近年では90歳までの生存割合が49.9%になりました。

昔の人は更年期症状・障害を知らずに寿命を迎えていたのですから、今と昔では大違い。

更年期の治療に対しても私たちはどんどん新しい知識を得る必要があるわけです。

「ホルモン補充療法」というと一昔前は何となく怖いイメージを持つ方が多かった様です。

これに関しても認識を新たにする必要が有ります。

正しい知識を持つ事が長寿大国日本の女性には必要かもしれません。

50代では男性の方が女性ホルモン量が多い

男性も女性ホルモンを持っており、その値は一生涯ほとんど変わりません。

しかし閉経を迎えてしまった女性は残念ながら男性よりも女性ホルモンが少なくなる人が大半です。

男性の持つ女性ホルモン量が人間が生体機能を維持するための最低量とするなら、それを下回る大半の閉経後女性は大変な状態でその後約35年生きなければいけないのです。

ホルモン補充療法は男性並みの量に回復させてやるもので有り、生殖機能のあった若い時の様な大量の女性ホルモンを身体に与えるものでは有りません。

誤解を恐れず言うならば、女性が人間らしく生きるための物だと私(佐藤)は思うのです。

更年期症状は出てくる症状全般を言いますが、更年期障害は自分の中で不具合が出てくるもの。

たとえ血液検査でご自身のホルモン量が正常値で更年期では無いと一般的に言われる量でも、辛ければSMI(更年期指数)の点数に縛られる事なく更年期外来を受診して治療をして欲しいと林先生は仰います。

ホルモン補充療法に期待される事

ホットフラッシュなどはごく微量の女性ホルモンで緩和されるため、ホルモン補充療法ですぐに改善される症状の一つです。

他にも不眠、関節痛、抑うつ気分や糖代謝の改善、コラーゲン量の増加、骨吸収を抑制し骨を作る方に働く、更年期世代で急に血圧が高くなった人は低下、大腸がん・胃がん・食道がんのリスクを下げる、乾燥の改善などがあげられます。

副作用は有りますが、どの副作用も投与するホルモンの量や経路(飲み薬や張り薬、塗り薬などがある)の変更で解決すると林先生はお話しされました。

一時期大変問題になった乳がんのリスクですが、昨年改定のガイドラインでは実に小さいものであると言う内容に変更されています。

乳がんリスクは併用される黄体ホルモンの種類や投与期間で変わると言う事がわかっており、ホルモン補充療法を中止するとリスクも低下します。不安要素ではなくなった訳です。

更年期症状がなくても使って良いのか?

子宮内膜症の人にも注意しながら使える様になりました。

更年期症状がなくとも、閉経後健康寿命を伸ばす(アンチエイジング)のためと言う明確な目的があれば、医師と一年に一度きちんと話をすればOKです。

いつまで続けたら良いのだろう?と言うことも、期間を決める必要もなくなりました。

投与開始が60歳を過ぎてからの場合は投与経路やホルモン量などの検討も必要ですが、開始出来ないと言う訳では有りません。

 

林先生のお話を伺って、ホルモン補充療法は怖いものではなく、きちんとお医者さんと話し合うことで、自分の身体を良い状態に保つ選択肢の一つになって行くのではないかと感じました。