大豆製品と安全性

大豆、イソフラボンの取りすぎは健康に害はないのでしょうか?というご質問を頂きましたので、お答えいたします。

大豆イソフラボンの安全一日摂取量

大豆イソフラボンアグリコンの形で一日摂取目安量の上限値は70~75 mgとなっています。

食品安全委員会では「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」の中で、上限値について「この量を毎日欠かさず長期間摂取する場合の平均値としての上限値であること、また大豆食品からの摂取量がこの上限値を超えることにより、直ちに健康被害に結びつくというものではないことを強調しておく。」としています。

この量を多少超えたでもあまり心配はいりませんよ、ということです。

この「大豆イソフラボンアグリコン」というのがポイントで、通常私たちが言う「大豆イソフラボン」とは違うので、知っておく必要があります。

イソフラボンとイソフラボンアグリコンの違い

大豆イソフラボンとは大豆製品中に含まれる複数の化学物質の総称です。

多くが糖が結合した形で存在しますが、腸内細菌の力で糖が外れたものを大豆イソフラボンアグリコンといい、この形になると効率よく吸収されると言われています。

通常ネットなどで見かける大豆イソフラボンの量は糖が結合した形で記載されているものが多く見られます。

食品安全委員会が言っている「大豆イソフラボンアグリコン」とは違うのでそこのところを勘違いすると大変な事になります。

おおよそですが、大豆イソフラボン量の半分ほどがアグリコン型になるようです。

また、腸内細菌の違いで糖がうまく外せる人もいればそうでない人もおり、アグリコン型を作る力は個人差があると言えます。

また、日本人の大豆製品摂取量は年々減っていて、 平成24年に最終更新されている農林水産省のサイトでは、平均的な日本人(15歳以上)の大豆イソフラボンアグリコン摂取量は一日当たり18mgとなっています。

前述の一日摂取目安量の上限値には程遠い量ですね。

高容量のサプリメント摂取での実験では

外国での実験で、食品ではなくサプリメントなどで大豆イソフラボンアグリコン換算値1日150mg以上を5年間摂った場合に子宮内膜増殖症が発症したとの報告もあります。

お分かりのようにアグリコン換算値で150mgということは大豆イソフラボンとして約300mg。

木綿豆腐なら1日5丁、納豆なら8パック、油揚げ5枚、豆乳(125ml)5パックなどを毎日毎日5年間摂り、上手にアグリコン型にできる腸内細菌を持っていたらもしかすると子宮内膜が増殖する可能性はあります。

サプリメントの摂りすぎに注意

以上の事から、ご心配するほど現在我々は大豆製品を摂ってはいないようです。

大豆はイソフラボン以外にも様々な栄養素が豊富に含まれ、程よく摂取するのは健康の為に大変良い事です。

ただ、サプリメントは吸収が良いようにアグリコン型にしてあります。

その為、日常の食生活に加えて特定保健用食品により摂取する量は、大豆イソフラボンアグリコンとして30 mg/日の範囲が良いのではないか、と言われています。

サプリメントの一日服用量は基準内に収まるよう設定されています。薬と同じで量は守って飲んでください。

また、大豆製品の中でも味噌や醤油など発酵食品はすでにアグリコン型が含まれる割合が多いのが特徴です。

サプリメントを摂らずともきちんとした和食生活を送るとアグリコン型は摂取できるかもしれませんね。

 

今回参考にした農林水産省のサイトはこちらからご覧になれます。