高濃度乳房を知って

7月4日付の日本経済新聞より。

検診で乳がん見逃すリスク「高濃度乳房」

約20年間マンモグラフィーを受けて毎年「異常なし」と通知されていた女性が初期の乳がんと診断。
この女性、妹さんの乳がん発覚を機に超音波検査を受けて見つかったようです。
その後の講演会でご自身がマンモグラフィーではがんが判別しにくい「高濃度乳房」で異常が見落とされてきたと知りました。
乳腺の密度が高いとマンモグラフィーの画像では白く写ります。
がんも白く写るため乳腺密度が高いと異常が見落とされやすくなってしまいます。
40歳以上の女性の約4割がこの「高濃度乳房」に該当するようです。
高齢者になると乳腺は萎縮し脂肪に置き換わるためだんだん乳房は黒っぽく写るようになります。

厚労省、通知体制を整備

厚生労働省は乳がん検診でがんが写りにくい、このような「高濃度乳房」の女性への通知体制を整備するようです。
女性の乳房は乳腺の密度により4つに分類されていますが、今まで国は受診者に分類を伝えるよう定めてはいません。 
本人に分類を通知している自治体は13%、その対象者にマンモグラフィー以外の検査を進めるなど通知後の対応を決めている自治体はその半分にとどまっています。
今年3月には日本乳がん検診学会が国に適切な通知のあり方を検討するように求め、厚労省は6月、通知のひな形を作る方針を表明しました。

マンモグラフィーと超音波はお互いを補う

マンモグラフィーと超音波検査では見え方がまるで違います。

マンモグラフィーはしこりになる前の小さな石灰状のものをしっかりと捉える事が出来、0期と言われる症状がないごくごく初期段階で発見する事が可能です。

ただ、今回のように高濃度乳房の方は白く映る乳腺の中に白い石灰化やしこりが紛れてしまうため、超音波検査も受けた方がより確実で見落としが無くなります。

超音波検査は石灰化や脂肪の中の小さいしこりは不得意ですが、石灰化から少し大きくなった初期のしこりを高濃度乳房の中から見つけるのは得意です。

 

ガイドラインではマンモグラフィーが原則、乳腺密度によっては視触診も併せて実施のようですが、国の提言に沿っているからそれでヨシではなく、がんの見落としが無いような検診体制を素早く取る必要があると思います。