腸で繋がる母と子の絆

(株)ちとせ研究所・シニアバイオエンジニア(薬学博士)笠原 堅先生のお話をプラスリノがまとめました。

笠原先生自身、お子さんがアトピーを発症し腸内フローラ・食生活改善などからお子さんのアトピーを克服されたご経験があります。

注目が集まる腸内フローラ

最近よく耳にする「腸内フローラ」は私達の腸の中に住んでいる多種多様な微生物群のことです。

この微生物群はお互いに助け合い、また人の腸粘膜細胞とも作用し合っています。

腸内には100兆匹以上の様々な微生物群がまるで花畑(= flora)のように広がっているため「腸内フローラ」と呼ばれます。

近年、腸内フローラと健康に関係性が発見されたことで注目が集まっており、関連する疾患はアレルギーや喘息、自閉症、慢性疲労症候群、ストレス耐性、糖尿病、動脈硬化、肝臓がん…などがわかってきています。

原因がわからない難治性の「潰瘍性大腸炎」は現在、薬で炎症をコントロールしていますが健康な人の腸内フローラを移植する「糞便移植療法」で腸内細菌のバランスが正常化し、症状の改善が期待できます。

母から引き継ぐフローラ

胎児は生まれてくるまでは無菌状態ですが、産道を通る際、腸内フローラとほぼ同じ状態の膣内フローラを飲み込むことで自分自身の腸内フローラを得るようです。

帝王切開の場合は授乳などの際、皮膚から微生物群を獲得するようです。

そのため母乳であるか粉ミルクであるかでも腸内フローラは変わってくるようです。

帝王切開だから粉ミルクだから…と心配しないで!腸内フローラは変えることができます。

 

食べ過ぎ飲み過ぎ、不規則な生活習慣、タバコ、お酒などで悪化していきますが、善玉菌を増やす食生活をすることで腸内フローラは改善していきます。

肥満は腸から治せるらしい

前述の糞便移植治療の過程で、肥満の人からの糞便移植でもともと肥満症状がなかった人が太りやすい体質に変わったという事例が報告されました。

肥満遺伝子とは別に肥満原因菌が存在するようです。

腸内フローラは食の好みを持っており、特定の菌は糖を大変好みます。これが肥満原因菌。

食生活の改善は単に体重が減るだけではなく、この肥満原因菌の数を減らすことによると考えられるようです。

肥満は腸内フローラ改善から!太りにくい身体にすることは可能です。

抗生物質の影響

細菌に働く抗生物質は腸内フローラにも影響を与え、そのバランスを変化させます。

服用中に変わったバランスは服用終了後元に戻るとは限りません。その後の対応次第です。

抗生物質と一緒に処方される乳酸菌製剤の同時服用は必要不可欠です。今の病気に必要ないと言わず必ず一緒に飲んでください。

風邪はウィルス性だから抗生物質は効かないのよね、と安易に抗生物質服用を避けるべきではありません。

風邪から派生する肺炎など抗生物質が有効な感染症は多くあります。

必要な時にきちんと飲んで完治させる。耐性菌を作らないためにも処方された抗生物質は飲みきりがとても大事です。

抗生物質服用を機会に食生活を改善するのも良いでしょう。

 

気になる食生活による腸内フローラの改善。

次回の講演会勉強会リポートは第二弾「腸内フローラの整え方」をお伝えします。