インスリン抵抗性と運動

今日は3月1日のコラム「超高齢社会を乗り切るための更年期からの運動習慣」のお話の中から、インスリン抵抗性糖尿病の方へ運動を進める科学的な理由を。

糖尿病とは

まず「血糖」とは。

血糖とは血液に含まれるブドウ糖のことです。体内でブドウ糖はエネルギー源として使われるため、インスリンなどによりその濃度=血糖が常に一定範囲に保たれています。

健康な人でも空腹時は血糖が低く、食事をすれば血糖は上がります。

糖尿病とは、インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われずに、血糖値が常に高くなっている状態のことです。放置すると全身にさまざまな影響が出てきます。

インスリン抵抗性

血液中のブドウ糖をインスリンはどこに取り込んで濃度を一定にしているのでしょうか?

血糖の80%は骨格筋に、ほかには肝臓などに取り込まれます。

この骨格筋や肝臓でインスリンが正常に働かなくなることを「インスリン抵抗性」といい、食事で血糖値が高くなり膵臓からインスリンが分泌されても、骨格筋や肝臓がブドウ糖をうまく取り込まないと、血中のブドウ糖が高くなり糖尿病になってしまいます。

GLUT4(グルット4)の活性化

さて、血糖を取り込む際「GLUT4」と言う物質が血糖をキャッチし、骨格筋へと取り込みます。

運動をすることでこの「GLUT4」の量が増え、さらに細胞膜の近くに集まるため血糖をキャッチしやすくなると言われています。そのためインスリンが正しく働かないインスリン抵抗性でも、インスリンの働きに無関係に血糖の取り込みが行われるわけです。

インスリン抵抗性糖尿病の方には特に運動が効果があるというのはこのためです。

 

明日は「糖尿病運動療法の実際」をリポートいたします。