女性更年期障害に対するサポート〜対象薬、食事療法を理解する〜①

1月19日開催の第250回薬剤師臨床セミナーに参加してきました。特別講演は旭川医科大学産婦人科学講座 周産母子センター講師 加藤育民先生です。今回は二回に分けて内容をお届けします。

更年期は幼年期・思春期と同じ「時期」である

現在の産婦人科は妊娠・出産などの産科、がんなどの婦人科の他、不妊治療、そして以前は更年期外来と呼ばれていた女性医学の大きく4つに分かれます。

女性医学は更年期症状の他、思春期や女性アスリートなどの月経不順などのホルモン的変化を主に診ています。

男性に「壮年期」があるように「更年期」は「幼年期」「思春期」に続く女性の時期でありその後「老年期」となるわけです。

40代の方に「更年期」と言うと嫌がられますが、その世代の呼び名と思ってください。

症状は30代後半からすでに出始めます。最初にまず肩こり、イライラ、骨粗鬆症にもなっていきます。

お若い方でも生理中にPMSやPMDD(詳しくはこちら)になる方も多いと思いますが、そのPMSとPMDDがずっと続くのが更年期症状だと思ってください。

症状は多岐にわたっています。あまりにいっぱいあるから不定(=これだと定まっていない)愁訴(=患者さんが訴える症状)なんです。

9割は肩こり、続いて冷え、頭痛が始まり、最も辛いのはホットフラッシュと言われています。

HRT(ホルモン補充療法)

更年期の症状の治療の最も代表的なHRTには内服や経皮剤、膣錠などありますが、肝臓を通過せず血栓になりづらいと言う事で今は内服よりも経皮剤が多く使用されています。

20代の時生理不順だった方は40代で体調不良になりやすいと言われています。

今では乳がんはあまり気にしなくても良くなってます。5年HRTを行っている方と何もしていない方の乳がんになる確率は変わりません。

返ってHRTを行っている人は毎年必ず乳がん検診に行っているため超早期で見つかる確率が高い訳です。

5年以上の使用でほんの少しだけ確率は上がります。しかしそれも1万人中300人が310人に増えるくらいの確率です。

HRTを行ってる人で乳がんに注意しなければならないのは喫煙、血栓症、家族性乳がんなどの人です。

開始当初3ヶ月は足の痛みや攣り、手の震えなどには注意が必要です。

現在子宮のない方に行うER(エストロゲンのみの治療)では乳がんにならないとの報告もあり、黄体ホルモンが悪さをするのではないかと言われています。

HRTを行っていると肌のツヤが良い、髪にボリュームがあるなど見た目のほかに糖尿病の指標であるHbA1cの数値が下がる、結腸がん罹患率が30%低下、食道がん・肝臓がんも有意(統計的・数学的差がある)に低下というデータがあります。

HRTは骨にも効果があります。背骨の骨粗鬆症は圧迫骨折に、大腿骨のそれは寝たきりにつながります。

骨粗鬆症の8割が女性と言われていますが、食事も大事ですが一番は運動!運動しないと骨はつきません

 

引き続き漢方、食べ物のお話などになりますが、続きは②でお伝えします。