女性と漢方〜加味逍遥散〜

山梔子の花
山梔子の花

加味逍遥散は更年期障害の諸症状に広く使用されている漢方薬です。

多くの臨床試験成績や薬理学的検討結果も報告され、近年科学的な裏付けも蓄積されてきました。

加味逍遥散とは

  • からだの熱を取る〜牡丹皮(ボタンピ)、山梔子(サンシシ)
  • 発汗を促す〜生姜(ショウキョウ)
  • 筋肉の緊張を緩める〜芍薬(シャクヤク)
  • 消化を調節する〜甘草(カンゾウ)
  • 肝を保護、上腹部の熱感や精神症状を改善〜柴胡(サイコ)
  • むくみを取り、胃腸の働きを良くする〜茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)
  • イライラなどの精神症状〜薄荷(ハッカ)

「逍遥」という言葉は、そぞろ歩くという意味で、自覚症状が次々と変化する婦人の病態を治すために開発された「逍遥散」に効果増強を狙って山梔子・牡丹皮を加えたものが「加味逍遥散」です。

今や更年期症状の第一選択漢方

その昔は加味逍遥散といえばイライラなどの精神症状を示す女性に処方される事が多かったようです。

現在では虚証から中間証はもとよりやや実証の人まで幅広く使用できる漢方薬と言われています。

イライラ以外にもクヨクヨ、不安感などの精神症状、めまいなどの自律神経系症状、ほてり・のぼせなどのホットフラッシュや発汗、月経不順や月経困難症などの諸症状に効果があり、今や更年期症状への処方No.1となっています。

ホットフラッシュに対する作用は科学的に解明

徳島大学大学院医歯薬学研究部生殖・更年期医療学分野 安井 敏之教授によると体温調節の範囲が狭まってしまった更年期女性は少しの温度変化で発汗や寒気を感じてしまうとの説がありますが、加味逍遥散はこの体温調節範囲を更年期前の女性と同じくらいに広げてやることで症状が発現することを制御している可能性があるようです。

 

副作用としては甘草が入っていますから、以前も書いた他漢方薬との併用に注意。他にはお腹が少し緩くなる方がいるようです。

加味逍遥散が有効な人は服用後一週間で何らかの改善効果が認められるようです(漢方医薬学雑誌vol.24より)

その間はしっかり一日3回服用し、効果を実感した場合は引き続き服用すると良いでしょう。