低用量イソフラヴォン

先日の学術集会リポート第四弾はシンポジウム「食品由来機能性成分とウィメンズヘルス」から。

いろいろな成分の話がありましたが、やはり私の注目は大豆関連。

ミドルエイジ女性の症状緩和

発表は東京医科歯科大学 周産・女性診療科 助教の廣瀬 明日香先生。

1日25mgという低用量、12.5mgの超低用量、0mgの対照の3群で大豆イソフラボンアグリコンという形で8週間、プラセボ対照二重盲検比較試験を行い、摂取前と比較したものです。

低用量群(25mg/day)で抑うつ症状、不眠症状、身体症状、血管運動神経症状が改善するという結果が得られたようです。

エストロゲンβ受容体

8週間の短期間で効果が得られたのは、イソフラボンの形がアグリコン型であったこと。

先日もお伝えしましたがアグリコン型は吸収率が大変良い形です。

また、抑うつ症状、不眠症状を改善させた機序は、気分障害に関連する海馬を介したエストロゲン作用が考えられるようです。

海馬にはエストロゲンβ受容体が多く存在するという報告もあり、ここでもまたフィトエストロゲンのβ受容体への高い親和性が効果の決め手となるのではないかと思われます。

低用量がポイント

今回のポイントは「低用量」

食品ではなくサプリメントなどで 大豆イソフラボンアグリコン換算値で摂取した場合、1日150mg以上を5年間摂った場合に子宮内膜増殖症が発症したとの報告もあります。

大豆の中には、イソフラボンの過度な吸収を抑制する作用のあるものなども含まれていて、 多量に大豆製品を摂取したからといって体に悪影響が出ることはほとんどないと言われています。食品ではそれほど気にすることもないかもしれません。

今回の報告ではサプリメントはたくさん摂らなくても低用量で効果はある、ということがわかりました。

今回の報告は「ゲニステイン」

エクオールが高いエストロゲン作用を示すことはお話しましたが、この試験はアグリコン型イソフラボンの第一段階の代謝物「ゲニステイン」による効果を試験したものでした。

廣瀬先生の発表ではゲニステインの効果もエクオールに劣っていないということです。  

 

エクオールが限定された腸内細菌を持つ人にしか作られないのに対し、ゲニステインを生み出す腸内細菌はそれほど稀なものではありません。

このようなことからもエクオールだけではなく、大豆製品は女性の味方と言えそうです。