遺伝性乳がん卵巣がんと女性ヘルスケア

アンジェリーナ・ジョリーさんが健康な乳房切除・再建に続き、卵巣・卵管切除をしたことをご存知でしょうか。

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群とはどう言うものなのか。ジョリーさんはなぜ卵巣・卵管切除まで行ったのか。

慶應義塾大学医学部産婦人科 平沢晃先生のお話です。

遺伝性乳がん卵巣がん

どんな病気でも遺伝因子と環境因子が関係

アンジェリーナ・ジョリーさんはがん抑制遺伝子「BRCA1」に生まれつき異常があり、何もしなければ87%の確率で乳がんに、50%の確率で卵巣がんになると診断されました。ジョリーさんの母親、祖母、叔母も乳がん卵巣がんで亡くなっています。

タバコと肺がんの関係を見てわかるように環境は大きくがんに関係しますが、全員がなるわけではありません。

ジョリーさんのような遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)ではBRCA1、BRCA2と呼ばれるがん抑制遺伝子に変異がある場合があります。

遺伝子の変異を受け継ぐと女性では乳がん・卵巣がん・卵管がん、若年性・両側性・トリプルネガティブの乳がんになったり、男性では前立腺がん・膵がん・男性乳がんになる確率が高くなります。

 

Two-hit-theory

 

父と母から貰った二つの染色体のどちらも異常なければ環境因子によってダメージを受けても(1hit)表面には出てきません。

もう一度ダメージそ受け(2hit)両方の遺伝子がダメージを受けることでがんになると言われています。

最初から遺伝子に異常がある場合は1hitでがんになるため、若くしてがんになる確率が高いといえます。

 

リスク低減手術とその後の女性のQOL

リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)

ジョリーさんが最初に行った手術・リスク低減乳房切除術(RRM)は手術後の乳がん発症リスクは抑えます。

しかし今年行ったリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)は卵巣がん・乳がんの発症リスク低減のほか、卵巣がん・乳がんの死亡率のみならずあらゆる死亡も低減すると報告されており、現時点でBRCA1/2遺伝子に変異を持つ保持者に対する最も効果が高いがん一次予防法のようです。

QOL(生活の質)の変化

月経がある女性がRRSOを行うと更年期障害のような症状が出ることもあり、長期的には脂質異常症や骨粗鬆症などを発症しQOLの低下を招く可能性は高くなります。

RRSO後の女性のヘルスケアを考えることが重要となっていくでしょう。