10/27に開催された「日本更年期と加齢のヘルスケア学会 学術集会」からお伝えします。
ナグモ歯科赤坂クリニック副院長 佐藤由紀子先生の講演を元にまとめました。
オーラルフレイルとは
「介護無し、認知症無し、寝たきり無し」がみんなの願いでしょう。
「フレイル」とは心身虚弱の状態、健康と要介護の間と言えますが可逆性が有り、健康に戻れる可能性も有ればどんどん介護へと近づいてしまう事もある多面性を持った状態です。
健康長寿を目指し病的老化を防ぐには「フレイル」の予防が必要ですが、それには栄養バランスと身体活動、社会参加が重要です。老化は環境因子が75%を占めるため生活習慣を変える事で老化を防止出来ます。
フレイルの一歩手前「プレフレイル」として「オーラルフレイル」が存在します。
オーラルフレイルは口の些細な衰えが積み重なった状態を言い、将来の介護リスクを高める事となります。
上手く噛めないことから柔らかいものばかりを選び咀嚼機能が低下、食欲も低下します。
また肉や魚を避け炭水化物ばかり食する事で筋肉の低下が起こり、家に引きこもることが増え社会性や心身のフレイルへと繋がっていきます。
オーラルケアがアンチエイジングの鍵
老化を加速させる因子全てにオーラルケアが関与しています。
しっかり良く噛み唾液を出す事は消化吸収が良くなる、活性酸素が低下、若返りホルモン・パロチン分泌そして認知機能の低下を防ぐ事が知られています。
また、免疫機能の70%は腸にあるため腸内フローラの改善が免疫力を高める事となります。
噛み合わせが悪いと姿勢が歪みロコモーティブシンドロームへと繋がります。
誰かと食事をする事で精神的安定が得られ、リズミカルに口を動かすことはストレスの軽減にもなります。
口元を整える事はまさにアンチエイジング。
しっかり磨く事で細菌をコントロール、口臭の原因である舌も清潔に保てます。
歯茎からの出血は菌血症を引き起こし全身の衰えに繋がるので注意です。
また、口角を上げるだけで脳はリラックスします。ストレスコントロールのためにも口元は常に微笑んでいましょう。
オーラルフレイルチェック
- 自分の歯が20本以下
- 噛む力が弱い
- 舌の力が弱い
- 滑舌の低下
- 硬いものが噛みにくい
- むせることが増えた
このうち3つ以上の症状があるとオーラルフレイルの可能性が高く、40歳代で4割がオーラルフレイルの危険性があると言われています。
自覚しないうちに口腔機能が衰えていることもあります。高齢者の問題ととらえず若いうちからオーラルフレイルについてしっかり考える必要が有りそうです。