今日は中秋の名月。そろそろ虫の音が聞こえてくる頃でしょうか。虫の音を風流だと捉えるのは日本人だけのようです。
同様に風鈴の音色で涼しさを感じるのも日本人独特の事。それには自律神経が関わっているようです。
風鈴の音と条件反射
夏の風物詩「風鈴」。
元は「風鐸(ふうたく)」と呼ばれる魔よけの道具で、平安時代以降その音が届く範囲は災いや疫病から守られると信じられていたようです。
その後、風鐸は風鈴と名前を変え、一般庶民にも広まり疫病が流行りやすい夏に風鈴をつるすようになったと言われています。
夏に風鈴の音を聞くと涼しい気持ちになりますが、これは日本人だけのようで、これには長い間に出来上がった条件反射が関わっているようです。
条件反射はご存知でしょう。「パブロフの犬」の実験は有名ですね。
- 犬に音を聞かせる。
- 犬に餌を与える。犬は餌を食べながら唾液を出す。
- これを繰り返す。
- すると、犬は音を聞いただけで、唾液を出すようになる。
犬は無意識に唾液を出しているところが重要です。
条件反射による刷り込み
以前テレビで「30℃の部屋に10分間座り、その後同じ部屋で10分間風鈴の音を聞かせると体温はどう変化するか」という実験をしていました。
日本人が風鈴の音を聞いて涼しい気になるのは本当に気のせいなのか、の実験です。
外国人は体温が若干上がり、感想は「リラックスした」
日本人は体温が若干下がり、感想は「涼しい気がした」
実際日本人は涼しくなっていました!
リラックスすると副交感神経が優位になるため、末梢血管は広がり体温は上昇します。外国人の体温が上がったのはこのためでしょう。
日本人が涼しい気がするのは「風鈴の音が鳴る=風が吹いている=涼しくなった」という経験を積んだ日本人だけがもつ感覚ですが、同じ30℃の部屋にいるにも関わらず条件反射により脳は音に反応し「涼しくなった」ととらえ末梢血管を収縮させ体温の放出を抑えるため体温が下がるので、一概に「気のせい」とは言えないようです。
脳を勘違いさせる事はできる
自律神経は自分の意思ではどうにも出来ないもの。自律神経をコントロールする事はヨガの達人くらいしか出来ないようです。
しかし、今回の実験から脳は聴覚から得た情報を経験から変換し間違って自律神経系統を操作したという事がわかります。
つまり脳は「勘違いを起こす」という事です。
ストレス社会の現代では良い環境ばかりを自分のそばに置くことは出来ません。
聴覚だけではなく嗅覚や視覚から得た情報でも勘違いを起こすと考えられることから、勘違いをして自律神経の働きを整えられる環境を脳に与えてやれば良い事になります。
鏡を見て微笑む、ポジティブな言葉を発する、自分の好きな香りを嗅ぐ、好きな曲を聴く…脳を勘違いさせ「幸せ」「元気」「リラックス」「やる気」などを感じさせ、自律神経を整えてあげてください。