触れ合う事で分泌されると言われているオキシトシン。「愛情ホルモン」とも言われていますね。
今日は知られざるオキシトシンの可能性。福島県立医科大学 病態制御薬理医学講座 主任教授 下村健寿先生のお話から。
参考文献は『Science of Kampo Medicine Vol.43 No.1 2019』
オキシトシンとは
20世紀初頭に発見されたオキシトシンはその後、乳汁分泌促進効果が見つかりました。
長い間女性特有のホルモンとみなされ、分娩時の子宮収縮や乳汁分泌に関わる薬として知られて来ました。
しかし近年、性別に関係なく分泌され、脳や体内のいろいろな部位でとても複雑で有用な役割を果たしているとの報告が次々ありました。
- コミュニケーション能力の改善
- 骨代謝の改善
- パートナーとの絆形成
- 健康寿命延伸
- 抗肥満作用
などです。
人間生活に極めて銃なホルモンと言えそうです。
オキシトシンの効果
その効果は世界中の研究成果から「心」と「身体」の二つに分けられます。
- 信頼を高める
- 母性行動を担う
- 自閉症症状の改善
- 不安の軽減
などは「心」。
「イクメン」もオキシトシンの分泌が関係しているのではないかと言う研究もあるようです。
- 摂食抑制/肥満症改善
- 血糖値改善
- 筋肉の維持と再生
- 海馬ニューロン新生促進
- 骨形成促進
- 寿命延伸
などは「身体」に対する効果の報告です。
女性ホルモン同様全身の守り神のようなホルモンですね。
オキシトシンを分泌させるには
オキシトシンは体内の恒常性(ホメオスタシス)がストレスなどで乱された時、元に戻す働きがあるのではないか、というのが下村先生の研究です。
ストレスでついつい食べ過ぎてしまう、という女性も多いでしょう。そんな時オキシトシンが有れば食欲を抑えられるかもしれません。
では、どうしたら分泌されるのでしょうか。
人や動物と触れ合うと分泌されると言われていますが、単に「接触」という事ではなく「愛情を持って触れる」という事がポイントのようです。愛情ホルモンと言われるのはこのためでしょう。
5/31のコラム(こちら)にも書きましたが、直接的な接触で無くとも「人を思いやる」という気持ちでも湧き出てくるようです。
他にも「心を開いて楽しむ」事も分泌に繋がるようで、つまりは毎日を気持ち良く、楽しく、思い遣りを持って過ごしていると自然とオキシトシンが出てくるという事でしょうか。