以前は落ち込んでる気持ちを変えるために「外見や行動を変えてみる」をお伝えしましたが、職場にそんな方がいたら周りはどうしたら良いか…が今日のコラム。
「外見や行動を変えてみる」を書くに辺り、資料として閲覧した大野 裕先生のご講演(平成30年4月18日開催)「職場におけるメンタルヘルス〜心の不調の未然防止と活力ある職場作りを目指して〜」の内容を抜粋してお伝え致します。
メンタルヘルス不調と病気
「ストレスが強い人は風邪をひきやすい」という研究結果が1991年海外の医学雑誌に掲載されました。メンタルの問題を抱えていると、体も変調をきたして病気にも罹りやすくなるようです。
心の健康は体の健康にも繋がってくる。
こころの健康を高めるには次の3つのポイントが重要になるというのが大野先生のお話です。
やりがい
「どうせ何をやってもだめだ」と思うと意欲が萎える。
いくら辛くても自分でなんとかできると考えると意欲を持ち続ける事ができる、という研究があります。
何かやっても無駄だとわかると犬が無力感を学習し動かなくなる「学習性無力感」から得られた結論です。
ここからわかるのは、いくら辛くてもそれなりの成果が見える体験をする事が大事、という事です。
仕事によっては目に見えた成果が出てこない事も有ります。その場合上司は「この仕事よくやったね」と声をかける事が大切。
この声がけが部下に「成果」「できた感」として認識される可能性が有ります。
少し何かできれば、またやってみようという気持ちになっていきます。
この「やりがい」を感じるにはコツがあります。
- 気持ちが晴れる行動、やりがいのある行動を増やしていく
- 少しずつできることからやっていく
- 小さな喜びや達成感の積み重ね
あまり大きな事を目標とせず小さなことからコツコツと…、なんですね。
悩んでる人は考え方が硬くなり問題が曖昧になっている事が多く、絞り込む事が苦手。
まずどこに注力すべきなのかを整理、良い悪いは別にして問題を一つに絞って、どんな可能性があるかを複数考えていく事が良いようです。
幅広く考えていく事で解決策を見つけていこう、というのは「認知行動療法」という考え方。
一般的に認知=情報処理はマイナスから入るるようですが、大事なのはその後現実に対して眼を向けて冷静に判断して行く事。
この認知行動療法の使い方を自分自身が身につけると、自分の心をコントロールできるようになる可能性があります。
夢
問題を解決するとき、つい目の前の問題にばかり目を奪われがちですが、実は「今後どのように生きていきたいのか」が大事。
メンタル面で問題を抱えてる人を目の前にして上司の方が意識すべき事は「この人にとって何が大切なのか」という点を忘れない事、だそうです。
夢を諦めなかった事で頑張り続ける事ができる、という事もあります。
目の前の問題に目が向いてしまうと全体が見えなくなります。全体を見る事ができるかどうかが重要だと大野先生はおっしゃいます。
人との繋がりはうつ病を予防
心の健康を高める最後のポイントは「みんなで一緒にやっている」という「絆」です。
周囲と良い関係を持つ事ができるという事が心の健康にとって大事となるため、職場ではそういう雰囲気作りも大切になります。
1. 個人の長所を生かす
部下の性格や特徴を適切に使う事も大事です。それぞれの良いところをどのように見つけてくのかが上司にとって大切な役目になる、と大野先生はおっしゃいます。
2. 人間関係には動きがある
人間関係は独立するものではなく、お互い影響し合うものです。友好的に接すると相手も友好的に、敵対的に接すると相手も敵対的になります。「笑顔で挨拶」は職場の雰囲気を変えていきます。
以前お伝えした「外見や行動を変えてみる」(→こちら)がこれに当たり、自分の姿勢によって気分が変わるという「アウトサイド・イン」と言われるものです。
「楽しいから笑う」は「インサイド・アウト」、「笑顔になるから楽しくなる」が「アウトサイド・イン」。
実際にこういう事が起こるというのは研究で実証されています。まさに「笑う門には福来る」なのです。
3. 心に寄り添う
上司の方は会話の中に強弱も必要。強い言い方弱い言い方はバランス良く。
まずは「見て」事実を伝え、「共感」して相手の気持ちに寄り添い自分の気持ちを伝える。その上で「提案」しダメなら代案を出す。するとうまく会話も進む、と大野先生。
心に寄り添うコツもまた3つ
- まず相手の気持ちを認めてあげる事。責め言葉はダメ
- 感情に流されない、事実とのバランスをとる
- 「どうしてこうなった?」では無く「どうしていけば良いか」
相手との関係を大切にして、微調整ができるかどうかで、職場の雰囲気や職場の心の状態も変わってくるようです。
今回のコラムが、自分自身をコントロール出来なくなっている部下や仲間を見つけ時にはどうしたら良いか、のヒントになれば幸いです。